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第37巻 第8号 2004年8月 [目次] [全文 ( PDF 168KB)]
症例報告

術前化学療法が著効し切除しえた十二指腸浸潤大腸内分泌細胞癌の1例

津谷 康大, 青木 秀樹, 原野 雅生, 佐々木 寛, 小野田 正, 塩崎 滋弘, 大野 聡, 二宮 基樹, 高倉 範尚, 瀬口 智子

広島市立広島市民病院外科, 宮崎医科大学第2病理学教室

 術前化学療法が著効し根治切除しえた大腸内分泌細胞癌を経験したので報告する.症例は38歳の男性で,急性心筋梗塞を契機に貧血の精査で十二指腸浸潤を伴う横行結腸原発内分泌細胞癌が発見された.CT上,右上腹部に認めた腫瘍は急速に増大し腸閉塞となり,回腸瘻造設による減圧後,術前化学療法としてCisplatin(CDDP)+CPT-11療法を施行した.CT上腫瘍は完全に消失し,根治術として結腸右半切除,胃十二指腸部分切除,胆嚢摘出術を施行した.病理組織学的検査では大腸粘膜面にわずかに癌細胞を認めるのみで組織学的効果Grade 2であった.術後もCDDP+CPT-11療法施行後退院し,1年2か月後の現在無再発生存中である.大腸内分泌細胞癌は非常に予後不良な疾患で,外科的切除のみでは限界があると思われるが,術前化学療法を含めた集学的治療により予後の改善が見込める可能性があると思われた.

索引用語
neuroendocrine carcinoma, neoadjuvant chemotherapy, colon cancer

日消外会誌 37: 1485-1490, 2004

別刷請求先
津谷 康大 〒790-0007 松山市堀之内13 国立病院機構四国がんセンター外科

受理年月日
2004年2月25日

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