症例報告
扁桃悪性リンパ腫に併存した胃粘膜癌と胃悪性リンパ腫の衝突腫瘍の1例
内藤 哲也1), 中川 悟1), 池田 義之1)2), 矢島 和人1), 金子 耕司1), 小向 慎太郎1), 大橋 学1), 神田 達夫1), 西倉 健2), 畠山 勝義1)
新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野1), 同 細胞機能講座分子・病態病理学分野2)
扁桃悪性リンパ腫の精査中に発見された早期胃癌と胃悪性リンパ腫の衝突腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は62歳の男性で,2002年7月,左扁桃腫脹を主訴に当院耳鼻咽喉科を受診し,左扁桃悪性リンパ腫(diffuse large B cell type)と診断された.全身検索のために施行した上部消化管内視鏡検査にて胃体下部後壁に早期胃癌を発見され,2002年9月10日,当科にて幽門側胃切除,D2リンパ節郭清を施行した.病理診断の結果,病変は高分化型腺癌(深達度m)と悪性リンパ腫(diffuse large B cell type,深達度sm2)の衝突腫瘍を形成しており,リンパ節転移は認めなかった.術後,2002年10月18日より左扁桃悪性リンパ腫に対して,当院関連病院内科にてCyclOBEAP療法を6コース施行し,完全寛解を得た.現在までに胃悪性リンパ腫,胃癌および扁桃悪性リンパ腫の再発を認めていない.
索引用語
malignant lymphoma, early gastric cancer, collision tumor
日消外会誌 37: 1537-1542, 2004
別刷請求先
内藤 哲也 〒951-8510 新潟市旭町通1番町757 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野
受理年月日
2004年3月24日
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