症例報告
Non-steroidal anti-inflammatory drug投与によると考えられた多発性横行結腸穿孔の1例
佐藤 耕一郎1), 佐川 純司1), 一迫 玲2), 熊本 裕行2), 山口 正人1)
NTT東日本東北病院外科1), 東北大学大学院歯学研究科口腔病理学分野2)
本邦ではまれなdiclofenac sodiumによると考えられる多発性横行結腸穿孔の1症例を経験したので報告する.症例は31歳の男性で,慢性扁桃炎に対する扁摘後の疼痛管理にdiclofenac sodiumを75-112.5 mg/日,頓用として同坐薬50-100 mg/日を使用していたところ,術後第13病日に突然強い心窩部痛を訴えた.白血球26,440/μl,CRP8.1 mg/dlであり,局所所見では腹部全体が板状硬,腹部X-Pにて右横隔膜下にfree gasを認めたことにより,消化管穿孔による腹膜炎と診断し,緊急手術を行った.術中所見では多発性横行結腸穿孔による汎発性糞便性腹膜炎であり,穿孔部周囲の血流は良好であった.同症例に対し,穿孔部を含めた広範囲の上行,横行結腸部分切除を行った.病理学的所見では穿孔部を含め,多発性の深い潰瘍形成が認められ,アポトーシス小体も散見された.術後経過は良好で,第22病日に退院した.
索引用語
NSAID, colon, perforation
日消外会誌 37: 1582-1587, 2004
別刷請求先
佐藤耕一郎 〒984-8560 仙台市若林区大和町2-29-1 NTT東日本東北病院外科
受理年月日
2004年3月24日
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