術前に胃粘膜下腫瘍が疑われ術後に胃結核と診断された1例

加納　久雄, 三松　謙司, 金田　英秀, 久保井　洋一, 大井田　尚継, 天野　定雄^＊

社会保険横浜中央病院外科, 日本大学医学部外科学講座外科1部門^＊

　術前に粘膜下腫瘍が疑われ術後に胃結核と診断された1例を経験した．症例は79歳の男性で，既往歴は30歳時に右肺結核にて区域切除を施行し，以後肺結核の再燃は認めていなかった．現病歴は平成14年5月37.8℃の発熱と腹痛を認め紹介受診．不明熱として対症療法を行っていた．平成15年3月精査のための上部消化管内視鏡検査にて胃体上部前壁に4 cm大の正常粘膜に覆われた粘膜下腫瘍を認めた．形態的にGISTも否定できないため手術を施行．術式は胃局所切除を施行．肉眼的には内部に淡黄色の膿汁を貯留した膿瘍形成を示しており，病理学的には抗酸菌は同定できなかったが，中心に乾酪壊死を認めLanghans巨細胞を伴った類上皮肉芽腫を認め，胃結核の診断になった．胃結核は腸結核の中でもまれであるが，結核患者は現在でも減少しておらず，当疾患にも注意が必要と考えられた．

索引用語
gastric tuberculosis, submucosal gastric tumor

別刷請求先
加納　久雄　〒231-8553　横浜市中区山下町268　社会保険横浜中央病院

受理年月日
2004年4月28日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です