原著
下部消化管手術症例におけるPOSSUMを用いたリスク評価の意義
渡辺 誠, 保田 尚邦, 草野 智一, 中島 修, 神坂 幸次, 角田 明良*, 草野 満夫*
伊勢崎市民病院外科, 昭和大学一般消化器外科*
目的:下部消化管手術症例の手術リスクにおけるPOSSUMおよびP-POSSUMの適合性を評価する.対象と方法:2001年1月から2002年8月までに施行された下部消化管開腹手術症例(虫垂切除術,癒着剥離術を除く.)119例を対象とした.全症例に対してPOSSUMならびにP-POSSUMの予測式から予測術後合併症率と予測死亡率を算出し,実際の術後合併症数および死亡数とをHosmer-Lemeshowの適合度検定を用い比較検討した.結果:術後合併症の発症は119症例中41例(34.5%)であった.術後死亡は119症例中1例(0.84%)であった.POSSUMによる術後合併症予測と実際の発症数の比較ではPOSSUMは実際より有意に過剰予測した(p=0.017).また,POSSUMによる術後死亡予測と実際の死亡数の比較ではPOSSUMは実際より有意に過剰予測した(p=0.003).P-POSSUMによる術後死亡予測と実際の死亡数の比較では統計学的有意差は認められなかった(p=0.38).考察:術後合併症に関するリスク評価として,本邦に適応するようPOSSUMの予測式を修正する必要があると考えられた.また,術後死亡に関するリスク評価としてはP-POSSUMの予測式が有用であると考えられた.
索引用語
POSSUM, P-POSSUM, mortality, morbidity risk, colorectal surgery
日消外会誌 37: 1714-1720, 2004
別刷請求先
渡辺 誠 〒212-0021 川崎市幸区都町39-1 川崎幸病院外科
受理年月日
2004年5月25日
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