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第37巻 第11号 2004年11月 [目次] [全文 ( PDF 96KB)]
症例報告

胃癌切除によりネフローゼ症候群の寛解を認めた1例

浅岡 忠史, 松井 成生, 岩澤 卓, 木村 豊, 加納 寿之, 大西 直, 東野 健, 中野 芳明, 矢野 浩司, 門田 卓士

NTT西日本大阪病院外科

 症例は66歳の男性で,両下肢の著明な浮腫と食物の通過障害を主訴に来院した.精査の結果,ネフローゼ症候群(膜性腎症)を合併した進行胃癌と診断され平成13年9月20日に開腹手術を施行した.その結果,肝転移および腹膜播種を認めたが,腫瘍からの出血と通過障害の改善を目的として胃全摘術を施行した.組織学的所見は中分化型管状腺癌,T4N3P1CY1H1 M0 stage IV根治度Cであった.術後2週目より尿中蛋白は減少し,ネフローゼ症候群の寛解を認めた.悪性腫瘍に起因するネフローゼ症候群の発生機序としては,腫瘍抗原と特異な抗体とからなる免疫複合体が糸球体に沈着することによるとされている.本邦にて胃癌切除によりネフローゼ症候群の軽快を認めたと報告された全17例のうち,自験例のように明らかな癌の遺残がありながらもネフローゼ症候群の寛解を認めた症例はまれで,今後の手術適応を考える上で非常に興味深いと思われた.

索引用語
nephrotic syndrome, membranous nephropathy, gastric cancer

日消外会誌 37: 1727-1731, 2004

別刷請求先
浅岡 忠史 〒543-8922 大阪市天王寺区烏ヶ辻2-6-40 NTT西日本大阪病院外科

受理年月日
2004年5月25日

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