症例報告
胆嚢カルチノイド腫瘍の1例
衣笠 和洋, 安岡 俊介, 松田 恒則
神鋼加古川病院外科
まれな胆嚢カルチノイド腫瘍の1例を報告する.症例は41歳の女性で,腹部超音波検査で4 mm大の胆嚢結石および胆嚢頸部に1 cm大の表面不整な隆起性病変が認められ,腹腔鏡下胆嚢摘出術が施行された.病理組織検査では,小型で比較的均一な円形ないし類円形の核を有する小細胞が,小結節状,索状,あるいは腺腔状に増殖しており,一部は固有筋層まで浸潤していた.核分裂像は認められなかった.Grimelius好銀性染色陽性,Fontana-Masson銀親和性染色陰性で,免疫組織化学染色でchromogranin Aが陽性であったことからカルチノイド腫瘍と診断した.Flow cytometryによる腫瘍細胞の核DNA量の測定ではdiploid patternを示した.術後8年6か月の現在まで再発は認められない.胆嚢内分泌細胞腫瘍はカルチノイド腫瘍と内分泌細胞癌とに大別され,両者の予後は大きく異なることから,その治療にあたっては両者を明確に区別し,それぞれの病態に応じた治療法を選択すべきである.
索引用語
carcinoid tumor of gallbladder, endocrine cell carcinoma of gallbladder, flow cytometry
日消外会誌 37: 1748-1753, 2004
別刷請求先
衣笠 和洋 〒670-0947 姫路市北条1-279 城陽江尻病院外科
受理年月日
2004年4月28日
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