局所切除および免疫化学療法にて長期寛解を得た直腸肛門部悪性黒色腫の1例

土田　知史^1）＊, 米山　克也^1）, 佐々木　一嘉^1）3）, 神　康之^1）3）, 笠原　彰夫^1）, 鹿原　健^2）3）, 岩崎　博幸^2）, 小菅　宇之^3）, 利野　靖^3）, 長嶋　洋治^4）

神奈川県立足柄上病院外科^1）, 国際医療福祉大学附属熱海病院外科^2）, 横浜市立大学医学部第1外科^3）, 同　第2病理^4）
（^＊現：国際医療福祉大学附属熱海病院外科）

　直腸肛門部悪性黒色腫はまれな疾患で，治療法も確立されておらず予後不良である．今回われわれは局所切除および免疫化学療法によって寛解を得た1例を経験したので，文献的考察を加え報告する．症例は65歳の女性で，下血を主訴に当科を受診した．直腸肛門部に直径10 mmおよび5 mmの黒色で，易出血性の有茎性ポリープを認め，経肛門的腫瘤摘出術を施行し組織学的に悪性黒色腫と診断された．腫瘍の厚さは最大約7 mm，深達度はsmで，切除断端陽性であった．リンパ節および他臓器への転移は認めなかった．術後免疫化学療法を開始したが，大腸内視鏡検査で悪性黒色腫細胞の遺残を認めたため，再度，経肛門的追加切除を行った．しかし，組織学的には腫瘍細胞を認めなかった．術後免疫化学療法を追加施行し外来で経過観察中だが，再手術後6年以上経過してなお無再発生存中である．本症例は直腸肛門部悪性黒色腫の治療法確立のために有用な情報を提供するものと考える．

索引用語
anorectal malignant melanoma, long time survival, therapeutic regimen

別刷請求先
土田　知史　〒413-0012　熱海市東海岸町13-1　国際医療福祉大学附属熱海病院外科

受理年月日
2004年5月25日

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