症例報告
上皮内伸展により2つの腫瘤を形成した胃リンパ球浸潤性髄様癌の1例
篠原 玄夫1), 森 崇高1), 三室 晶弘1), 野牛 道晃1), 坂本 啓彰1), 冨岡 英則1), 海老原 善郎2), 土田 明彦3), 青木 達哉3), 石井 英昭4)
戸田中央総合病院外科1), 同 病理2), 東京医科大学外科学第3講座3), 同 第2病理学教室4)
患者は60歳の男性で,胃潰瘍にて通院中にフォローアップで行った胃内視鏡検査で異常を指摘され入院となった.胃内視鏡検査,胃X線検査では胃体上小彎に連続する2つの隆起性病変を認めた.口側の病変は一部正常な上皮で覆われ,なだらかに立ち上がっており,中央に線状の陥凹を伴っていた.肛門側の病変は中央に円形の深い陥凹を認め,周囲は環状に隆起し,小型Borrmann2型を呈していた.2つの病変の間には正常上皮が存在し,それぞれが独立した病変と考えられた.早期胃癌の診断にて噴門側胃切除術を施行した.病理組織学的には双方とも低分化型腺癌で間質には著明なリンパ球浸潤とリンパ濾胞形成を認めた.2つの病変は上皮内進展により連続していた.また双方ともEBER-1(Epstein-Barr virus encoded RNA)in situ hybridization陽性であり,その発生にEpstein-Barr virus(EBV)の関与が疑われた.
索引用語
gastric cancer, medullary carcinoma with lymphoid stroma, Epstein-Barr virus
日消外会誌 37: 1823-1828, 2004
別刷請求先
篠原 玄夫 〒335-0023 戸田市本町1-19-3 戸田中央総合病院外科
受理年月日
2004年6月30日
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