症例報告
早期胃癌に併発した肝炎症性偽腫瘍の1切除例
眞田 雄市, 栗田 啓, 棚田 稔, 高嶋 成光
国立病院四国がんセンター外科
早期胃癌に合併した肝炎症性偽腫瘍(inflammatory pseudotumor;以下,IPT)を経験した.患者は63歳の女性で,心窩部痛を主訴に近医を受診した.胃内視鏡にて,胃角部に0I型の病変を認めbiopsyにてGroupVが検出されたため,当科紹介受診し,手術目的で入院となった.術前CTにて,肝外側区域に径7 cmの腫瘤を指摘され,不均一な造影効果を伴い,肝転移を疑った.単発性であり他に転移巣を指摘されなかったため,幽門側胃切除術,肝左葉切除術を施行した.病理組織学的検索にて,胃の病変は0I型の粘膜内癌で乳頭状腺癌,リンパ節転移は認めなかった.肝は,リンパ球,形質細胞を中心とする炎症細胞浸潤が著明で,IPTと診断された.癌に肝IPTを伴う場合,肝転移との鑑別が問題となる.近年の報告例を提示しつつ,IPTの画像診断,臨床病理学的特徴について考察した.
索引用語
inflammatory pseudotumor of the liver, early gastric cancer
日消外会誌 37: 1839-1845, 2004
別刷請求先
眞田 雄市 734-8551 広島市霞1丁目2-3 広島大学医学部外科(原医研)
受理年月日
2004年5月25日
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