症例報告
胆管空腸吻合部良性閉塞の1例
近藤 哲矢, 角 泰廣, 村瀬 勝俊, 島本 強, 杉本 琢哉, 田島 吾郎, 尾関 豊
国立東静病院外科
十二指腸乳頭部癌に対する幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(以下,PPPDと略記)後の良性胆管閉塞を経験したので報告する.症例は63歳の男性で,PPPD術後3年目から発熱,黄疸を繰り返していた.4年後の入院時の血清総ビリルビン値は6.4 mg/dlと高値を示した.腹部CT,MRCPでは肝内胆管はびまん性に拡張していた.肝内,胆管空腸吻合部近傍の総肝管に異常所見を認めなかった.PTCD造影では左右肝管合流部直下でU字状の平滑な胆管閉塞像を認めた.PTCSでは総肝管閉塞部に悪性所見はなく,胆管空腸吻合部の良性閉塞と診断した.内瘻化不可能のため胆管空腸再吻合術を行った.胆管空腸吻合部は線維性にかたく狭小化し,吻合口を確認できなかった.左右肝管合流部と空腸を端側吻合した.病理組織学的に吻合部直上の総肝管は,内腔が消失し,慢性線維性炎症を示したことから,虚血による狭窄に加え胆汁うっ帯性の胆管炎が関与していた可能性が示唆された.
索引用語
biliary obstruction, pancreaticoduodenectomy, hepaticojejunal anastomosis
日消外会誌 37: 1851-1856, 2004
別刷請求先
近藤 哲矢 〒411-8611 静岡県駿東郡清水町長沢762-1 国立東静病院
受理年月日
2004年5月25日
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