症例報告
大動脈弁置換術後の抗凝固療法中に発症した出血性胆嚢炎の1例
春田 周宇介, 橋本 雅司, 飯塚 敏郎*, 松嵜 理登, 的場 周一郎, 横山 剛, 宇田川 晴司, 澤田 壽仁, 渡邊 五朗
虎の門病院消化器外科, 同 消化器内科*
出血性胆嚢炎はまれな疾患である.抗凝固療法中に胆嚢内出血を発症し,頸部嵌頓結石のため診断に難渋し,特異な画像所見を呈した1例を経験した.症例は69歳の女性.主訴は上腹部痛.大動脈弁置換術後の抗凝固療法中であった.来院時,貧血と肝機能障害があり,超音波検査では胆石を認めるのみであった.貧血が進行したためCTと超音波検査を再度行い,胆嚢の著明な腫大と壁肥厚,頸部嵌頓結石を認めた.胆嚢内容は超音波検査やMRIで2層に分かれ水平面を形成していた.胆石の頸部嵌頓と胆嚢内出血を伴う胆嚢炎と診断し開腹胆嚢摘出術を施行した.摘出胆嚢には悪性所見を認めず,出血性胆嚢炎と診断した.抗凝固療法中の出血性胆嚢炎は本邦では6例の報告しかなく,胆石発作を原因とした症例は本例のみである.出血性胆嚢炎は画像診断の進歩により予後が改善している.
索引用語
hemorrhagic cholecystitis, anticoagulant therapy
日消外会誌 37: 1857-1861, 2004
別刷請求先
春田周宇介 〒105-8470 東京都港区虎ノ門2-2-2 虎の門病院外科
受理年月日
2004年6月30日
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