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第37巻 第12号 2004年12月 [目次] [全文 ( PDF 86KB)]
症例報告

胆嚢癌を合併し著しい胆管狭窄を呈した原発性硬化性胆管炎の1例

吉田 信1)2), 原 隆志1), 高梨 節二1), 石後岡 正弘2), 樫山 基矢2), 河島 秀昭2)

勤医協札幌西区病院外科1), 勤医協中央病院外科2)

 症例は78歳の女性で1999年10月に胆石胆嚢炎で当院入院し,ERCPで肝外胆管拡張を認めた.2000年12月に胆管炎のため他医入院.ERCPで胆管結石なく肝外胆管は広範囲で狭窄し,肝内胆管に一部狭窄を認めた.しかし,全身状態を考慮しそれ以上の精査はされなかった.2002年5月に腹痛,嘔吐あり胆石発作の診断で当院入院.黄疸は認めず,ERCPで肝外胆管は広範囲で糸状に高度狭窄し一部憩室様突出を伴い,肝内胆管B3やB8にも狭窄を認めた.胆管癌の可能性は低いと考え原発性硬化性胆管炎と診断し,腹腔鏡下胆嚢摘出術および肝生検施行した.胆嚢結石2個以外に胆嚢体部に2.8×1.5 cmのわずかに隆起する上皮性病変を認め,病理組織所見で胆嚢癌,深達度mと診断した.術後経過良好でウルソデオキシコール酸300 mg/日投与.定期検査で経過観察中であるが癌の再発や黄疸もなく胆管像にも変化は認めていない.

索引用語
sclerosing cholangitis, gallbladder carcinoma, bile duct dilation

日消外会誌 37: 1862-1866, 2004

別刷請求先
吉田  信 〒007-8505 札幌市東区伏古10条2丁目15-1 勤医協中央病院

受理年月日
2004年5月25日

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