症例報告
胃癌術後の孤立性脾転移の1切除例
笠島 浩行, 諸橋 聡子, 吉崎 孝明, 大石 晋, 舘岡 博, 猪野 満, 武内 俊, 田中 隆夫
大館市立総合病院外科
症例は70歳の男性で,平成12年9月,胃多発癌で胃全摘術を施行した.平成14年10月の腹部CTで脾転移を疑われ,TS-1による化学療法を開始した.平成15年2月のCTで腫瘍の増大傾向を認め,他部位の転移を認めないため,手術を施行した.術中所見では脾に約10 cmの腫瘍を認め,横隔膜へ直接浸潤を示していたため,横隔膜の一部を含めた脾摘術を施行した.病理組織診断では原発巣と類似した中分化型腺癌の所見であり,胃癌の転移と診断された.術後1年を経過し無再発生存中である.胃癌の脾転移は極めてまれであり,同時性の脾転移は予後不良であるが,孤立性異時性の脾転移は予後の改善が期待できるため,積極的に手術するべきである.
索引用語
gastric carcinoma, splenic tumor, metachronous metastasis
日消外会誌 37: 1888-1893, 2004
別刷請求先
笠島 浩行 〒017-8550 大館市豊町3-1 大館市立総合病院外科
受理年月日
2004年6月30日
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