症例報告
リピオドールリンパ管造影にて治癒した食道癌術後難治性乳糜胸水の1例
植村 守, 土岐 祐一郎, 石川 治, 上田 潤*, 良河 光一**, 森本 真人**, 高地 耕, 宮代 勲, 今岡 真義
大阪府立成人病センター消化器外科, 住友病院放射線科*, 同 胸部外科**
症例は57歳の男性で,進行食道癌Lt,T3N1M1 lym(#13#16)にて胸部食道全摘,後縦隔胃管再建,2領域+16番リンパ節郭清術を施行した.術後経口摂取開始と共に混濁胸水を認め乳糜胸と診断.絶食中心静脈栄養(術後18―58日),胸管結紮術(35日),minomycinおよびOK432注入による胸膜癒着(38―49日),胸腔左鎖骨下静脈および胸腔腹腔シャント造設術(64日)と治療行うも1,000―3,000 ml/日程度の胸水が持続した.2回のリンパ管シンチグラフィーではリンパ漏出部位同定は困難であった.術後121日にリンパ漏出部位同定目的でリピオドールによるリンパ管造影を施行.リンパ漏出部位は同定できなかったが,造影後急速に胸水は減少し8日目には胸水流出は止まり,術後158日に退院となった.リピオドールリンパ管注入は漏出部位同定困難な乳糜漏に対する効果の高い新しい治療法の一つとして期待される.
索引用語
esophageal cancer, chylothorax, lymphangiography
別刷請求先
土岐祐一郎 〒537-8511 大阪市東成区中道1-3-3 大阪府立成人病センター外科
受理年月日
2004年7月28日
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