症例報告
転移リンパ節に扁平上皮癌の併存を認めた胆嚢原発腺内分泌細胞癌の1例
森 光生, 里 悌子1), 山本 健太郎, 関 博章, 石川 廣記, 堤 寛2)
神奈川県警友会けいゆう病院外科, 同 病理1), 藤田保健衛生大学医学部病理2)
胆嚢原発の腺内分泌細胞癌はまれな疾患であるが,転移リンパ節が扁平上皮癌の組織像を呈し,特異な病理組織像と考えられた症例につき報告する.症例は70歳の女性で,上腹部痛を主訴に初診した.画像診断では胆嚢底部に主座を置く36×15 mm大の腫瘍と上膵頭後部に25 mm大の転移リンパ節を認めた.肝床部切除を伴う胆嚢摘出術およびD2リンパ節郭清を施行した.病理組織学検査では,胆嚢粘膜には広範囲に粘膜内高分化型腺癌が存在し,連続して胆嚢底部では内分泌細胞癌を,胆嚢頸部では中分化型管状腺癌を認めた.上膵頭後部の転移性リンパ節は扁平上皮癌の組織像を呈した.リンパ節転移・肝転移のため術後32か月死亡した.腺癌(粘膜内高分化型腺癌および中分化型管状腺癌)・扁平上皮癌・内分泌細胞癌と多種の組織型が併存する胆嚢腺内分泌細胞癌は極めてまれであるため報告した.
索引用語
adenoendocrine cell carcinoma of the gallbladder, squamous cell carcinoma
別刷請求先
森 光生 〒220-8521 横浜市西区みなとみらい3-7-3 神奈川県警友会けいゆう病院外科
受理年月日
2004年7月28日
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