症例報告
原発巣切除後補助療法により長期生存を得ている多発肝転移を伴う膵ソマトスタチノーマの1例
北村 好史, 横尾 直樹, 北角 泰人, 東 久弥, 吉田 隆浩, 長田 博光, 塩田 哲也, 岡本 清尚*
高山赤十字病院外科, 同 病理*
膵内分泌腫瘍は,悪性であってもslow growingなものが多いとされる.今回,筆者らは多発肝転移を伴う膵ソマトスタチノーマに対し,原発巣切除術後肝動脈塞栓術を繰り返すことにより,長期にわたり良好な臨床経過が得られている1例を経験したので報告する.症例は40歳の女性で,平成10年9月,全身倦怠感と体重減少で当院を受診した.諸検査の結果,糖尿病の存在と共に,膵体尾部に5 cm大の辺縁不正で内部不均一な腫瘍,および肝臓に多発性の腫瘍を認めた.血漿ソマトスタチン値が56 pg/mlと上昇を認めたことより,膵ソマトスタチノーマおよび多発肝転移と診断し,脾・門脈合併切除を伴う膵体尾部切除術を施行した.術後肝転移巣に対し肝動脈塞栓術を繰り返した結果,局所再発や肝転移巣の増大は認めず,術後5年以上経過した現在も健在である.
索引用語
somatostatinoma, multiple liver metastases, transcatheter arterial embolization
別刷請求先
北村 好史 〒506-8550 高山市天満町3-11 高山赤十字病院外科
受理年月日
2004年6月30日
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