症例報告
直腸癌術後の難治性直腸膣瘻に対し薄筋筋皮弁の充填により治癒しえた1例
水谷 雅臣, 布施 明, 牧野 孝俊, 森谷 敏幸, 鈴木 明彦, 磯部 秀樹, 神賀 正博, 木村 理
山形大学医学部消化器・一般外科
症例は63歳の女性で2002年3月,前医で直腸癌に対し低位前方切除術を施行されたが,術後早期より膣からの便汁の排泄があり直腸膣瘻と診断された.2回の瘻孔切除縫合術,4回の内視鏡的クリッピング術,人工肛門造設を行うも治癒しえず,2002年11月,当科に紹介となった.2003年1月,手術を施行した.瘻孔部の切除を行い,右薄筋の筋皮弁を用い膣後壁,直腸瘻孔部を充填形成した.術後経過は良好で問題となるような機能障害も出現しなかった.2003年6月人工肛門を閉鎖.現在,術後約1年を経過したが瘻孔再発の徴候はない.直腸術後の難治性直腸膣瘻に対する,薄筋筋皮弁による外陰部形成術は機能障害の出現もなく患者のQOL向上に非常に貢献しうる術式と考えられた.
索引用語
rectovaginal fistula, low anterior resection, gracilis muscular flap
別刷請求先
水谷 雅臣 〒990-9585 山形市飯田西2-2-2 山形大学医学部消化器・一般外科
受理年月日
2004年7月28日
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