臨床経験
完全直腸脱患者に対するPPH+Thiersch法を用いた低侵襲手術の検討
壁島 康郎, 田野 敦子, 亀山 哲章, 戸泉 篤, 田村 洋一郎, 影山 隆久
霞ヶ浦医療センター外科
完全直腸脱に対する外科治療において,腹式手術は会陰式と比較し,良好な治療成績が報告される.しかし,手術侵襲は高度となり,その選択に躊躇する場合も少なくない.我々は高齢者,特に併存疾患を有する完全直腸脱症例に対する低侵襲治療として,Procedure for Prolapse and hemorrhoids(PPH)+Thiersch手術の有用性を検討した.2001年から2003年に本法を施行した8例を対象とした.観察期間中央値は25か月であった.手術時間は28.5分,出血量は極少量,術後入院期間は10日で,手術合併症は1例も認めなかった.本法は局所麻酔でも手術が可能であり,出血もほとんどなく,呼吸・循環動態への影響は極めて少ないと考えられた.完全直腸脱症例に対する低侵襲治療として,本法は治療選択肢の1つになると考えられた.
索引用語
procedure for prolapse and hemorrhoids, thiersch operation, complete rectal prolapse
別刷請求先
壁島 康郎 〒300-8585 茨城県土浦市下高津2-7-14 霞ヶ浦医療センター外科
受理年月日
2004年6月30日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|