症例報告
2年間無症状の経過をたどった壁内型胆嚢周囲膿瘍の1例
金廣 哲也1), 信原 宏礼2), 首藤 毅3), 湯浅 吉夫2), 上松瀬 新3), 津村 裕昭1), 村上 義昭3), 末田 泰二郎3)
広島市立舟入病院外科1), 五日市記念病院外科2), 広島大学大学院病態制御医科学外科3)
壁内型胆嚢周囲膿瘍を形成して,2年間の経過の後に切除した症例を経験したので報告する.症例は92歳の男性で,2000年11月,右上腹部痛にて来院し,急性胆嚢炎として保存的治療を受けて退院した.2002年11月,前回と同様の右上腹部痛を主訴に再来院し,胆嚢炎増悪で入院となった.WBC 9,050/mm3,CRP 9.1 mg/dlと炎症所見を認めた.腹部超音波検査で胆嚢周囲への限局性の液体貯留および隔壁様構造を認めた.腹部CTでは腫大した胆嚢様の構造とその内部に隔壁を認めた.経皮的膿瘍ドレナージ後の造影では胆嚢と交通した膿瘍腔を認め,無石性胆嚢炎からの胆嚢周囲膿瘍を形成したと診断した.病理所見では壊疸性胆嚢炎および壁内型胆嚢周囲膿瘍と診断された.本症例のように壁内型胆嚢周囲膿瘍の長期経過をみた報告例はまれであり,消炎後の早期の切除が必要であると考えられた.
索引用語
pericholecystic abscess, acute acalculous cholecystitis
別刷請求先
金廣 哲也 〒730-0844 広島市中区舟入幸町14-11 広島市立舟入病院外科
受理年月日
2004年9月22日
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