症例報告
膵頭十二指腸切除術後に生じた仮性動脈瘤からの出血に対しステント留置にて止血しえた1例
池田 隆久, 土田 明彦, 井上 敬一郎, 安田 祥浩, 中村 龍治, 小澤 隆, 三室 晶弘, 青木 達哉, 小柳 泰久
東京医科大学外科学第3講座
症例は67歳の男性で,膵頭部のintraductal papillary mucinous tumorの診断にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(膵胃吻合)を施行した.術中,総肝動脈を損傷したため,端々吻合にて損傷部を再建した.術後,膵液漏は認めなかったがドレーン周囲の感染が生じたため洗浄を行った.第30病日に膵胃吻合上縁に留置したドレーンより少量の出血を認めたが,自然に止血した.第32病日に同部より1,200 mlの再出血を認めたため造影CTを施行したところ,総肝動脈吻合部の中枢側に径12 mm大の仮性動脈瘤を認めた.直ちに血管造影を施行し,5×30 mmのEasy Wall Stentを総肝動脈に留置した.留置直後より仮性動脈瘤は描出されなかった.術後1年を経過しているが,再出血はなく,ステントの開存性も良好である.
索引用語
intravascular stent, pseudoaneurysm pancreatoduodenectomy
別刷請求先
池田 隆久 〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-7-1 東京医科大学外科学第3講座
受理年月日
2004年9月22日
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