症例報告
脾膿瘍,脾膿瘍結腸瘻を呈した膵粘液性嚢胞腺癌の1例
西脇 学, 中川 一彦, 柳生 隆一郎, 小石 健二, 中尾 宏司, 井上 貴至, 藤原 由規, 山村 武平, 西上 隆之*
兵庫医科大学第2外科, 同 第2病理*
症例は65歳の女性で,2002年3月に発熱を訴え,脾膿瘍,右横隔膜下膿瘍,膵尾部前面の膿瘍の診断で横隔膜下膿瘍のみに対して2回のUSガイド下ドレナージ(以下,US下ドレナージと略記)を施行した.8月より再び発熱があり抗菌剤内服を続けるも軽快せず2003年1月当院紹介となった.CTで脾膿瘍,膵尾部前面と臍部の腹腔内膿瘍を認めたが,膵に異常を認めなかった.脾膿瘍と臍部の腹腔内膿瘍のUS下ドレナージで症状は消失するも,脾膿瘍の脾曲部結腸との瘻孔形成,横行結腸狭窄が確認されたため,脾臓摘出術,結腸部分切除術,膵尾部前面膿瘍の摘出術を施行した.術中所見では脾臓周囲の高度な炎症と脾下極と結腸の癒着を認めた.病理組織学的検索にて脾膿瘍,脾膿瘍結腸瘻,膵尾部前面膿瘍壁に粘液性嚢胞腺癌を認め,膵尾部端原発と考えられた.膵癌に起因した脾膿瘍はまれであり文献的考察を加え報告する.
索引用語
splenic abscess, pancreatic cancer, spleno colonic fistula
別刷請求先
西脇 学 〒663-8501 西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学第2外科
受理年月日
2004年9月22日
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