症例報告
主膵管と交通の明らかなmucinous cystic tumorの1例
渡辺 伸和, 袴田 健一*, 鳴海 俊治*, 豊木 嘉一*, 十束 英志*, 佐々木 睦男*
白生会胃腸病院外科, 弘前大学第2外科*
症例は43歳の女性で,腹痛と発熱を主訴に当科を受診した.CT,MRIで膵尾部に嚢胞性病変を認めた.ERPにて病変部と近位および遠位主膵管の直接交通が確認された.主膵管型乳管内乳頭腫瘍(主膵管型IPMT)の限局拡張型,膵貯留性嚢胞や真性膵嚢胞を疑い手術(膵体尾部切除と脾摘,D1郭清)を施行した.術中超音波や切除標本の膵管造影でも,ERPと同様に主膵管と明らかに交通する嚢胞性病変を認めた.病理所見からMCTと診断した.MCTと膵管の交通は時に認められることがある.しかし,今回検索した範囲では嚢胞が主膵管と直接交通し,かつ嚢胞の尾側膵管も造影される例は極めてまれであった.画像所見から鑑別診断に難渋する症例と思われるが,本症例のような画像所見に遭遇した場合,MCTも鑑別疾患に加えるべきと考えられた.
索引用語
mucinous cystic tumor, main pancreatic duct
別刷請求先
渡辺 伸和 〒037-0066 五所川原市中平井町142―1 白生会胃腸病院外科
受理年月日
2004年9月22日
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