症例報告
クローン病に合併した腹壁デスモイド腫瘍の1例
柴崎 正幸, 万代 恭嗣, 日下 浩二, 北村 成大*
社会保険中央総合病院外科, 同 病理*
クローン病に合併した腹壁デスモイド腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は29歳の男性で,1999年クローン病と診断され,食事療法および内服治療中であった.2000年クローン病変による狭窄のため回盲部切除術の既往がある.2002年5月右下腹部腫瘤を主訴に当院を受診した.CT,MRIにて右腹直筋を置換するような大きな腫瘤を認めた.経皮針生検にてデスモイド腫瘍と診断した.Wide local resectionにて腫瘍を切除し,腹壁欠損部を3層構造のメッシュシートにて再建した.クローン病には種々の腫瘍の合併がみられるがデスモイド腫瘍の合併はまれで,本例が文献上6例目の報告である.両疾患に共通の病因は認めないが,臨床的には,デスモイド腫瘍の発生部位により,大量腸管切除,poly surgery,腹壁再建における癒着回避等の問題があり,クローン病の経過観察においてはデスモイド腫瘍の発生も念頭におく必要があると考えられた.
索引用語
desmoid tumor, Crohn's disease, pathogenesis
別刷請求先
柴崎 正幸 〒169-0073 東京都新宿区百人町3-22-1 社会保険中央総合病院外科
受理年月日
2004年9月22日
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