症例報告
小腸虚血を合併した孤立性上腸間膜動脈解離の1例
水島 恒和, 大割 貢, 山東 勤弥, 位藤 俊一, 水野 均, 三方 彰喜, 野中 健太郎, 甲斐沼 尚, 山中 宏晃, 岩瀬 和裕
りんくう総合医療センター市立泉佐野病院外科
症例は66歳の男性で,虫垂炎に対する開腹既往を有する.昼食中に突然心窩部痛が出現し近医を受診した.腹部単純X線検査にてNiveau像を認め,当科に紹介された.癒着性イレウスを疑い,保存的治療を開始した.翌日も症状は軽快せず腹膜刺激症状が出現したため,腹部造影CTを施行したところ上腸間膜動脈本幹の解離と腹水の増加,回腸末端部の腸管壁肥厚を認めた.上腸間膜動脈解離による腸管虚血を疑い,緊急手術を施行した.回腸末端部の腸管漿膜面に壊死を疑わせる色調変化を認めたため回盲部切除術を施行した.他の上腸間膜動脈領域の腸管血流は良好であり,解離部の血管径の拡大を認めなかったため,上腸間膜動脈本幹に対しては外科的処置を行わず経過観察した.術後3年4か月の腹部造影CTでは解離部は真腔,偽腔ともに血流は維持されており,血管径の拡大も認められない.孤立性上腸間膜動脈解離の報告はまれであり,文献的考察を加え報告する.
索引用語
isolated dissection, superior mesenteric artery, acute intestinal ischemia
別刷請求先
水島 恒和 〒598-0048 泉佐野市りんくう往来北2-23 りんくう総合医療センター市立泉佐野病院外科
受理年月日
2004年9月22日
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