症例報告
成人腸重積症にて発症した盲腸原発MALTリンパ腫の1例
安藤 公隆, 山田 誠, 甲賀 新*, 高成 秀樹*
甲賀病院外科, 同 病理*
症例は88歳の男性で,頑固な便秘と下腹部痛を主訴として当院を受診した.腹部CT・USにて右上腹部にtarget signを呈する腫瘤影を,注腸造影ではカニ爪様陰影を認め,腫瘍を先進部とする腸重積症と診断されたが,重積は検査中に整復された.大腸内視鏡では盲腸に1型腫瘍を認め,生検結果はGroup 2であった.腸重積を伴う盲腸腫瘍の診断で開腹し,回盲部切除術(D2)を施行した.切除標本の病理組織学的検索より盲腸原発MALTリンパ腫と診断された.大腸原発悪性リンパ腫による成人腸重積症の報告は,本邦では10例のみ,MALTリンパ腫によるものは自験例のみと極めてまれである.MALTリンパ腫は基本的に低悪性度であるが,高悪性度,リンパ節転移陽性例の報告もある.大腸MALTリンパ腫は報告例が少なく症例の集積と検討が必要であるが,進行例ではリンパ節郭清を伴う切除が必要と考えられた.
索引用語
MALT lymphoma, colon tumor, intussusception
別刷請求先
安藤 公隆 〒425-0088 焼津市大覚寺655 甲賀病院外科
受理年月日
2004年9月22日
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