症例報告
Von Recklinghausen病に十二指腸カルチノイドを合併した1例―本邦報告例18例の文献的考察―
森山 仁, 川村 統勇, 川村 武, 松田 寿夫, 石原 行雄, 池上 雅博*
川村病院外科, 東京慈恵会医科大学病理学教室*
Von Recklinghausen病(以下,VRD)に十二指腸カルチノイドを合併したまれな1例を経験したので報告する.症例は52歳の男性で,既往歴・家族歴として本人および弟がVRDである.平成3年7月に十二指腸乳頭付近のSMT様隆起を初めて指摘されて以来,定期的に精査するも,診断つかず経過観察されていた.平成14年11月の上腹部痛を主訴とした再診で,このSMTに対し,生検行ったところカルチノイドと診断された.このため,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は大きさ25×25×23 mm,Varter乳頭部を圧排するように発育し,一部,膵実質に直接浸潤を認めた.また,脈管侵襲・リンパ節転移陽性で,mitosis・細胞増殖マーカー陽性を認めることなどから,高悪性度のカルチノイド腫瘍と診断された.本症例は診断に苦慮したが,VRD患者を診た場合,まれではあるが,十二指腸カルチノイドの合併も念頭に置く必要性が示唆された.
索引用語
von Recklinghausen disease, duodenal carcinoid tumor
別刷請求先
森山 仁 〒416-0907 富士市中島327 川村病院外科
受理年月日
2004年10月19日
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