同時性孤立性脾転移を来した横行結腸癌の1例

長谷川　小百合, 石過　孝文, 佐口　武史, 伊東　英輔, 石津　和洋, 添田　仁一, 幕内　博康^＊

東海大学医学部付属八王子病院外科, 東海大学医学部外科^＊

　一般に悪性腫瘍の脾臓への転移頻度は低いとされている．今回，結腸癌の同時性孤立性脾転移を経験したので報告する．症例は58歳の女性で，検診にて便潜血陽性を指摘され受診し，大腸内視鏡検査にて横行結腸左側に全周性の2型病変を認め，生検で腺癌と診断された．腹部CTで脾臓中極に35×32 mm大の不均一なlow density tumor，超音波検査でも同様な単発のhigh echoic areaを認め，横行結腸癌，孤立性脾転移と診断し，横行結腸切除（D3）・脾摘術を施行した．脾臓には中極に白黄色の結節性病変を認めた．横行結腸癌の病理組織検査は中分化型腺癌でse，ly1，v1，n1（1/29）．脾腫瘍も横行結腸癌と同様の組織型であり，組織学的にも脾転移と診断された．術後経過は良好で，術後14か月の現在再発徴候なく外来通院中である．孤立性脾転移切除例の中には長期生存例もあり，積極的な切除が重要であると考えられた．

索引用語
splenic metastasis, colon carcinoma, splenic tumor

別刷請求先
長谷川小百合　〒192-0032　八王子市石川町1838　東海大学医学部付属八王子病院外科

受理年月日
2004年10月19日

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