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第38巻 第4号 2005年4月 [目次] [全文 ( PDF 732KB)]
症例報告

Alpha-fetoprotein産生性食道胃接合部領域癌の1例

福沢 淳也, 寺島 秀夫, 中野 順隆, 中橋 ちぐさ, 小田 竜也, 湯沢 賢治, 轟 健, 大河内 信弘

筑波大学人間総合科学研究科臨床医学系消化器外科

 AFP産生性食道癌の1例を経験した.55歳の男性で,吐血を主訴に受診した.Hb 3.9 g/dlと貧血があり,血清AFP値が47,800 ng/mlと高値を示した.上部消化管内視鏡検査にて腹部食道から食道胃接合部にかけて隆起性の腫瘍を認めた.両肺野に多発転移を認めたが,保存的に出血のコントロールがつかず,緊急手術を施行した.開腹,経食道裂孔的にアプローチし胸部下部腹部食道・胃噴門切除術を行った.組織学的には類肝様の腺癌の形態をとり,AFP染色陽性でAFP産生性食道癌と診断した.術後血清AFP値は1,900 ng/mlまで低下し,術後10日目に退院した.化学療法を施行したが,肺転移巣の増大,骨転移の出現によりAFPが再上昇し,手術から9か月後癌死した.AFP産生性食道癌の本邦報告例は,本例を含め7例とまれな疾患である.文献的考察とともに,食道胃接合部癌の定義上の問題について論じた.

索引用語
AFP producing esophageal carcinoma, carcinoma of esophagogastric junction

日消外会誌 38: 401-405, 2005

別刷請求先
福沢 淳也 〒305-8575 つくば市天王台1-1-1 筑波大学人間総合科学研究科臨床医学系消化器外科

受理年月日
2004年11月30日

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