症例報告
紅皮症を契機として発見された非B非C型肝細胞癌の1例
伊東 浩次, 鳥次 美帆1), 松本 日洋, 滝口 典聡, 真田 勝弘, 芝田 敏勝2), 前田 学3), 平沼 進
土浦協同病院外科, 同 皮膚科1), 同 病理科2), 同 放射線科3)
症例は67歳の男性で,平成15年9月中旬より皮膚の乾燥と掻痒感を自覚し,9月27日当院の皮膚科を受診した.全身皮膚の潮紅と落屑を認め,紅皮症と診断され,10月1日皮膚科に入院した.紅皮症の治療とともに内臓悪性腫瘍の検索を行い,肝右葉にSOLを認め,検査の結果,肝後区域に6 cm大の非B非C型の肝細胞癌を認めた.12月12日,肝右葉切除,胆摘を行い,術後経過良好にて第16病日に退院となった.右葉の腫瘍は,高分化型肝細胞癌で多結節癒合型腫瘤であった.術後,皮膚の掻痒感は著明に改善し,皮膚病変も軽快した.本邦における内臓固形癌に随伴した紅皮症の報告は自験例も含め63例で,肝癌に随伴した紅皮症は自験例が2例目である.紅皮症では内臓悪性腫瘍の合併率が通常より高率であり,原因不明の紅皮症症例では,内臓悪性腫瘍が合併している可能性も考慮し,積極的に全身検索を行う必要がある.
索引用語
erythroderma, hepatocellular carcinoma, paraneoplastic syndrome
別刷請求先
伊東 浩次 〒300-0053 土浦市真鍋新町11-7 土浦協同病院外科
受理年月日
2004年11月30日
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