症例報告
幽門輪温存膵頭十二指腸切除を施行した第4部原発十二指腸癌の1例
鈴木 亮, 松井 則親, 西 健太郎, 山下 晃正, 松岡 隆久, 守田 知明
JA山口厚生連周東総合病院外科
症例は66歳の男性で,嘔気,食欲不振を主訴に当院を受診した.上部消化管造影X線検査で十二指腸第4部に約3 cm長の全周性狭窄を認め,腹部CTでは造影効果のある約3.8 cm大の腫瘤性病変を認めた.上部消化管内視鏡検査では観察困難であった.十二指腸第4部原発の十二指腸癌の診断で,十分な口側断端の陰性化とリンパ節郭清のために幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では十二指腸第4部に39×45 mm,3型,環周率100%の腫瘤を認め,漿膜面には明らかに露出していた.また,膵癌取扱い規約上のNo.13b,14pのリンパ節に転移を認めた.明らかな非治癒因子がないかぎり,原発性十二指腸第4部の癌に対する術式としては膵頭部周囲リンパ節郭清も必要であり,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が標準術式になると思われる.しかしながら今後,縮小手術の可能性について検討すべきと考えられる.
索引用語
primary adenocarcinoma of the third portion of duodenum, pylorus preserving pancreaticoduodenectomy, node-positive duodenal carcinoma
別刷請求先
鈴木 亮 〒747-8511 防府市大字大崎77 山口県立中央病院心臓外科
受理年月日
2004年11月30日
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