症例報告
結腸亜全摘術後,残存直腸から大出血をきたした潰瘍性大腸炎の1例
森 隆太郎, 小金井 一隆, 嶋田 紘*
横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター難病医療センター, 横浜市立大学大学院消化器病態外科学*
症例は51歳の女性で,1999年11月発症の左側大腸炎型再燃緩解型の潰瘍性大腸炎で,2003年12月に再燃し,4月当科に紹介受診した.入院しプレドニン50 mg強力静注療法10日間施行後に白血球除去療法を1回行ったが改善せず手術を行った.術前1か月のプレドニン投与量が1,180 mgと大量で,貧血と低栄養もあり2期的手術とした.第1期手術として結腸亜全摘,回腸人工肛門,粘液瘻造設術を施行した.術後6日目に突然肛門から大量の凝血塊と新鮮血が流出し血圧が低下したため緊急で残存S状結腸直腸切除,回腸嚢肛門管吻合,回腸人工肛門造設術を行った.切除標本では,S状結腸と直腸全体に地図状の潰瘍と潰瘍底に充満する凝血塊を認めた.ステロイド大量投与例でも残存結腸に高度な病変が予測される場合は1期的大腸全摘,回腸嚢肛門(管)吻合術を行い,回腸人工肛門を造設することでより安全な手術が可能と考えられた.
索引用語
ulcerative colitis, massive bleeding, subtotal colectomy
別刷請求先
森 隆太郎 〒232-0024 横浜市南区浦舟町4-57 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター難病医療センター
受理年月日
2004年11月30日
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