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第38巻 第4号 2005年4月 [目次] [全文 ( PDF 558KB)]
症例報告

直腸癌子宮浸潤による子宮留膿腫穿孔から汎発性腹膜炎をきたした1症例

曽ヶ端 克哉1)2), 水島 康博3), 松村 将之1), 川本 雅樹1), 野村 裕紀3), 秦 史壮1), 染谷 哲史2), 八十島 孝博1), 佐藤 卓2), 平田 公一1)

札幌医科大学医学部第1外科1), 北海道立羽幌病院2), 市立芦別病院3)

 症例は88歳の女性で,発熱・食欲低下を主訴に受診し,腹部CTにて虫垂周囲膿瘍と触診にて腹膜刺激症状を認めた.血液検査上,WBC 27,600/mm3,CRP 34.8 mg/dlと高度の炎症所見を伴っていたため虫垂穿孔による汎発性腹膜炎と診断し手術を行った.術中所見では子宮底部に穿孔を認め,直腸癌が子宮に浸潤し左尿管・左卵巣を巻き込んでいた.膀胱への浸潤を認めなかったため直腸・子宮・左卵巣合併切除および人工肛門造設術を施行した.病理組織学的には,直腸癌が子宮筋層に浸潤しているのを確認した.本症例は癌の浸潤により子宮内腔が汚染され,癌の進行とともに子宮に機械的閉塞を生じ子宮留膿腫を引き起こし穿孔したまれな症例であった.高齢女性の汎発性腹膜炎に遭遇した場合,子宮・付属器の疾患も十分に考慮しつつ骨盤腔を精査し手術に望むべきであると思われた.

索引用語
pyometra, rupture of uterus, rectal cancer

日消外会誌 38: 469-473, 2005

別刷請求先
曽ヶ端克哉 〒078-4197 苫前郡羽幌町栄町94 北海道立羽幌病院

受理年月日
2004年11月30日

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