症例報告
門脈ガス血症を呈した上腸間膜動脈性十二指腸狭窄の1例
境 雄大, 八木橋 信夫, 大澤 忠治, 原田 治
黒石市国民健康保険黒石病院外科
症例は81歳の男性で,脳梗塞後遺症にて老人保健施設に入所中であった.嘔吐,著明な腹部膨満のため当科を受診した.腹部X線にて胃拡張著明,腹部造影CTにて上腸間膜動脈により十二指腸が圧迫され,胃・十二指腸第3部までの拡張あり,空腸の拡張を認めず.また,門脈内ガス像を認めた.上腸間膜動脈性十二指腸狭窄による急性胃十二指腸拡張,門脈ガス血症と診断し,経鼻胃管留置により保存的治療を開始した.誤嚥性肺炎を認めたが,徐々に全身状態の改善を認めた.第5病日の腹部造影CTで胃十二指腸拡張・門脈ガスは消失し,3D-CTでは上腸間膜動脈の分岐角度の狭小化を認めた.上部消化管造影検査では十二指腸第3部での造影剤の途絶と口側腸管の拡張を認めた.咀嚼・嚥下障害あり,経管栄養開始後,第19病日に転院した.保存的治療のみで軽快した門脈ガス血症,急性胃拡張を伴う上腸間膜動脈性十二指腸狭窄症はまれであり,文献的考察を加えて報告する.
索引用語
superior mesenteric artery syndrome, portal venous, gastric dilation
別刷請求先
境 雄大 〒036-0541 黒石市北美町1-70 黒石市国民健康保険黒石病院外科
受理年月日
2004年11月30日
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