肝・右腎浸潤を認めた右副腎原発悪性リンパ腫の1例

松岡　隆久, 松井　則親, 岡　和則, 西　健太郎, 守田　知明

JA山口県厚生連周東総合病院外科

　症例は78歳の男性で，右季肋部痛・背部痛を主訴に近医を受診し，後腹膜腫瘍の診断で当科に紹介された．血液検査ではLDHの上昇を認め，腹部CT・MRIで右副腎に造影効果のあるφ15×15 cm大の腫瘍を認め，肝・右腎への浸潤も疑われた．腹部血管造影では右下副腎動脈をfeeding-arteryとするtumor-stainを認めた．以上より，肝・右腎浸潤を伴う右副腎原発悪性腫瘍と診断し肝右葉・右腎と腫瘍を一塊に切除した．摘出標本は1.3 kg，腫瘍は白色充実性・弾性硬腫瘤で肝右葉および右腎への直接浸潤を認めた．病理組織では悪性リンパ腫（diffuse mixed sized B-cell type）であった．術後第29病日に退院．自宅療養の後CHOP療法を4クール施行した．現在，術後2年を経過した現在も再発の兆候はなく経過観察中である．副腎原発悪性リンパ腫に対しては早期発見・積極的治療が重要と考える．

索引用語
malignant lymphoma, adrenal gland, surgery

別刷請求先
松岡　隆久　〒759-4194　長門市東深川85　JA山口厚生連長門総合病院外科

受理年月日
2004年11月30日

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