症例報告
腹膜透析患者における被嚢性腹膜硬化症に対する外科的治療―可及的な肥厚腹膜摘除の必要性―
村上 礼一, 堀籠 郁夫, 田熊 淑男, 佐藤 孝臣*, 天田 憲利*, 織井 崇*, 菊地 廣行*, 佐々木 茂*, 大橋 洋一**
仙台社会保険病院腎臓疾患センター, 同 外科*, 公立刈田綜合病院外科**
被嚢性腹膜硬化症は腹膜透析療法における最も重篤な合併症の一つであり,長期の腹膜透析療法によって硬化した腹膜により腸管が癒着してイレウス症状を呈する症候群である.今回,我々が経験した症例は28歳~67歳の男性4例,女性1例で,絶飲食,中心静脈栄養により腸管の安静とステロイド治療を行ったが,5例中4例で緩解増悪をくり返し保存的治療に抵抗したため外科的治療を行った.手術は癒着剥離,被膜摘除,腹腔内洗浄に加え,1例で回腸の部分切除術も追加した.1例に合併症として遺残硬化腹膜による嚢胞形成をみたが,再手術による摘出にて軽快し現在4例とも経口摂取良好である.被嚢性腹膜硬化症の外科的治療には適切な手術時期の選択に加えて,根気強い剥離と可及的な肥厚腹膜の摘除が有効と考えられた.
索引用語
peritoneal dialysis, encapsulating peritoneal sclerosis, surgery
別刷請求先
村上 礼一 〒036-8562 弘前市在府町5 弘前大学医学部内科学第2講座
受理年月日
2004年11月30日
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