症例報告
大腸全摘後の回腸嚢に小腸癌が発生したクローン病の1例
河島 秀昭, 石後岡 正弘, 樫山 基矢, 高梨 節二, 原 隆志, 山崎 左雪, 畠山 広巳, 細川 誉至雄
勤医協中央病院外科
クローン病の小腸癌はその頻度が増加していると報告されているが,本邦においては極めてまれである.今回我々は潰瘍性大腸炎の診断で大腸全摘術,回腸嚢肛門吻合を受け,10年後に回腸嚢内に小腸癌を発生した44歳の女性を経験したので報告した.患者は左臀部痛を主訴に来院し,検査のために2003年8月入院となった.既往症として35歳時Crohn病の診断を受け,その後5-ASA,predonisolone,azathioprinにて治療されていた.小腸癌は,直径10 cm大で回腸嚢内に発生していた.回腸嚢切除,肛門切断術を行い腫瘍は治癒的に切除され,リンパ節転移は認めなかった.現在外来にて化学療法施行中であるが再発は認めていない.回腸嚢やクローン病の経過中には,小腸癌の発生を念頭に入れて定期的な検査を行う必要がある.
索引用語
Crohn's disease, small bowel cancer, ileal pouch
別刷請求先
河島 秀昭 〒007-8505 札幌市東区伏古10条 2-15-1 勤医協中央病院外科
受理年月日
2004年11月30日
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