症例報告
中心静脈カテーテル留置による合併症―高カロリー輸液内容の漏出した2症例
工藤 明敏, 得能 和久, 森田 克彦, 平木 桜夫, 福田 進太郎
宇部興産中央病院外科
高カロリー輸液(IVH)施行中,輸液内容が血管外に漏出し,呼吸困難,胸水が貯留した症例を2例経験した.症例1はIVH開始後5日目に喘息様呼吸困難で急激に発症した.気管内挿管を要し,著明な低酸素血症,進行性アシドーシス,両側胸水貯留,心タンポナーデとなった.CTにてCVカテ先端近傍の縦隔にエアーを認め,側注の際に混入されたものと考えた.胸腔,心嚢ドレナージ,CVカテ抜去により救命しえた.症例2はIVH開始後18日目に呼吸困難,胸水貯留で発症した.胸水糖濃度測定とCVカテからの色素注入で胸水が着色したことにより診断した.CVカテ留置後IVHの滴下が不良となり,他に原因の考えられない呼吸困難や胸水の貯留した際は,輸液内容の血管外漏出を疑い,胸水糖濃度測定やCVカテから色素注入検査を施行し,この病態を早期に診断しなければならない.カテーテルの抜去と胸腔,心嚢ドレナージや病態にあわせた集中治療が必要である.
索引用語
central venous catheter, intravenous hyper alimentation, extravasation of fluid
別刷請求先
工藤 明敏 〒755-0151 宇部市西岐波750 宇部興産中央病院外科
受理年月日
2004年11月30日
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