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第38巻 第6号 2005年6月 [目次] [全文 ( PDF 870KB)]
症例報告

肺癌術後のG-CSF産生転移性胃癌の1例

大井 正貴, 森本 雄貴, 大澤 亨, 小池 宏, 三宅 哲也, 広川 佳史

岡波総合病院外科, 三重大学医学部附属病院第2病理

 症例は75歳の男性で,平成13年6月に原発性肺癌のため他院で左肺全摘出術,平成14年2月に胃腫瘍のため胃部分切除術をうけ,肺癌の胃転移と診断された.同年6月発熱,全身倦怠感,食欲不振のために当院を受診した.胃穹窿部に表面不整な隆起性腫瘤を認め,生検でmalignant gastrointestinal stromal tumorと診断されたが,肺癌の胃転移も否定できず,噴門側胃切除術を施行した.病理組織学的検査,免疫組織化学染色,術前の血清Granulocyto-coloney stimulating factor(以下,G-CSF)値が高値であったことより,肺癌術後のG-CSF産生転移性胃癌と診断した.同年12月,横行結腸間膜に腫瘤を形成したために,腫瘤切除術,横行結腸部分切除術を行った.やはり,肺癌の転移であった.G-CSF産生肺癌の胃転移症例は予後不良とされるが,QOLの改善を考慮した外科的治療が必要となることがある.今回,肺癌術後のG-CSF産生転移性胃癌の1例を経験したので報告する.

索引用語
metastatic gastric cancer, G-CSF-producing tumor, lung carcinoma

日消外会誌 38: 620-625, 2005

別刷請求先
大井 正貴 〒518-0842 伊賀市上野桑町1734 岡波総合病院外科

受理年月日
2005年1月26日

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