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第38巻 第6号 2005年6月 [目次] [全文 ( PDF 689KB)]
症例報告

膵頭十二指腸切除術を施行しえた腹腔動脈起始部閉塞を伴う十二指腸乳頭部癌の1例

森山 裕熙, 黒瀬 通弘, 渡辺 剛正, 野中 泰幸, 林 同輔, 徳田 直彦, 児島 亨, 高田 晋一**

津山中央病院外科, 同 心臓血管外科, 同 病理部**

 腹腔動脈(以下,CA)起始部に閉塞が認められる症例に対して膵頭十二指腸切除術(以下,PD)を行う際には,肝血流が問題となる.CA起始部閉塞を伴う十二指腸乳頭部癌に対して,血行再建を行うことなく安全にPDを施行できた1例を経験したので報告する.症例は75歳の女性で,全身倦怠感と右季肋部痛にて入院.内視鏡検査にて十二指腸乳頭部癌と診断し,上腸間膜動脈造影にて,膵アーケード,背側膵動脈を通じて肝動脈,脾動脈が描出された.造影CTによる3D再構成軸位断像にて,CA起始部の閉塞が確認され,最終的に手術を行った.CA起始部に瘢痕性の狭窄を認め,解除を試みたが総肝動脈(以下,CHA)に明らかな拍動をみなかった.ところが,胃十二指腸動脈をテストクランプし血流量計でモニターしたところ,CHAに背側膵動脈からと思われる求肝性の血流を認め,血行再建を行うことなく安全にPDを施行することができた.

索引用語
celiac axis obstruction, pancreatoduodenectomy

日消外会誌 38: 626-631, 2005

別刷請求先
森山 裕熙 〒567-0028 茨木市畑田町11-25 茨木医誠会病院外科

受理年月日
2004年12月17日

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