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第38巻 第6号 2005年6月 [目次] [全文 ( PDF 713KB)]
症例報告

十二指腸・空腸に多発しリンパ節転移・脳転移を伴ったgastrointestinal stromal tumorの1例

梶川 真樹, 石山 聡治, 澤田 憲朗, 小野 謙三, 鈴木 康彦

公立陶生病院外科, 同 病理部

 十二指腸から空腸に多発し,さらに腸間膜リンパ節転移,脳転移を来したgastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)の1例を経験した.症例は76歳の男性で,主訴は黒色便.上部消化管内視鏡による生検で,十二指腸低分化型腺癌の疑診にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術中所見で空腸にも腫瘍が計5か所にみられ,また小腸間膜内に複数個のリンパ節転移もみられた.十二指腸・空腸の腫瘍は,いずれも免疫染色でKITレセプターが陽性のためGISTと診断された.術後,多発性の脳転移が判明,メシル酸イマチニブの投与と全脳照射を行ったが効果なく,術後6か月で死亡した.GISTは近年,その発生機序や治療法に関する知見も含め多数報告されているが,本症例は,小腸に多発し,リンパ節転移,脳転移を来し,メシル酸イマチニブも無効であったまれな症例であり,GISTの多様性をあらためて認識させられた貴重な1例と思われた.

索引用語
gastrointestinal stromal tumor, lymph node metastasis, brain metastasis

日消外会誌 38: 632-637, 2005

別刷請求先
梶川 真樹 〒460-0001 名古屋市中区三の丸4-1-1 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター外科

受理年月日
2005年1月26日

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