症例報告
肝細胞癌と鑑別が困難であったalpha-fetoprotein産生胆嚢癌の1切除例
浅岡 忠史, 近藤 礎1), 永野 浩昭, 花田 浩之2), 左近 賢人, 堂野 恵三, 梅下 浩司, 中森 正二, 若狭 研一3), 門田 守人
大阪大学大学院消化器外科学, 市立堺病院外科1), 大阪大学医学部附属病院臨床検査部2), 大阪市立大学附属病院病理部3)
症例は49歳の女性で,全身倦怠感,右季肋部痛を主訴に来院した.術前の画像検査では,CTで胆嚢窩に淡く造影される5 cm大の腫瘤を認め,MRIでは,T1強調画像でlow intensity,T2強調画像でhigh intensityとして描出された.腫瘍マーカーはAFP-L3が陽性であった.肝細胞癌,または混合型肝細胞癌と診断し手術を施行した.しかし,術中に胆嚢癌と診断されたため,拡大肝左葉切除術とリンパ節郭清術を施行した.術前血清の術後AFP電気泳動解析では,AFP-L2とAFP-L3分画が検出され,非肝細胞癌パターンであった.以上より,胆嚢に隣接するAFP産生腫瘤については,胆嚢癌の可能性を念頭におくことが必要である.また,血清のAFP電気泳動解析が肝細胞癌とAFP産生胆嚢癌の鑑別診断に有用となる可能性がある.
索引用語
AFP-L2, AFP-L3, gallbladder carcinoma
別刷請求先
永野 浩昭 〒565-0871 吹田市山田丘2-2,E-2 大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学
受理年月日
2005年1月26日
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