症例報告
CT colonographyにて術前に診断した両側Morgagni孔ヘルニアの1例
川崎 誠康, 阿部 元, 藤野 和典, 花澤 一芳, 谷 徹
滋賀医科大学乳腺・一般外科
横隔膜ヘルニアの中で最もまれで,かつ術前に両側性と確診したMorgagni孔ヘルニアの1例を経験した.症例は60歳の女性で,呼吸苦を主訴に受診した.胸部X線で右下肺野に腸ガス像を認め,横行結腸の右胸郭内への脱出と診断した.経肛門的にairを注入し結腸を強調して撮影するCT colonographyにて冠状断画像を得た結果,横行結腸が2回ループを描き左右の胸腔内にそれぞれ陥入している像を認め,両側性であることが判明した.手術は経腹的に施行.術前診断どおり横行結腸を内容とする両側性のもので,ヘルニア門を横隔膜縫縮とメッシュの縫着にて修復した.本疾患は通常右側胸腔へ結腸・大網などが脱出するものだが,両側例の報告も3.9%ある.経胸法では両側例に対応できず術前の評価は重要である.CT colonographyは結腸を内容としたMorgagni孔ヘルニアの術前検索に簡便でかつ大変有用であった.
索引用語
diaphragmatic hernia, bilateral Morgagni's hernia, CT colonography
別刷請求先
川崎 誠康 〒520-2192 大津市瀬田月輪町 滋賀医科大学医学部外科学講座
受理年月日
2005年1月26日
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