症例報告
胃全摘術後14年を経過して発症した結腸気管支瘻の1例
大山 健一, 高金 明典, 曽根 美雪1), 加藤 健一1), 川村 秀司2), 遠野 千尋2), 斎藤 和好
岩手医科大学第1外科, 同 放射線科1), 岩手県立江刺病院外科2)
症例は70歳の男性で,某医で1989年8月に胃癌にて胃全摘術を施行,術後縫合不全のため再手術が施行され,再手術後難治性の腹腔内膿瘍を形成したが保存的に加療された.以後は特に自覚症状なく経過していたが,2003年12月肺炎症状のため近医入院となり,注腸造影X線検査にて結腸脾彎曲部と左肺S9の気管支との交通を認め結腸気管支瘻の診断となった.結腸に悪性病変を疑う所見がなく,炎症性腸疾患などの基礎疾患もないことから,前回手術後の横隔膜下膿瘍に起因したものと考えられた.本症例は高齢であるうえに偶発的に発見された肝腫瘍が生検の結果cholangiocarcinomaと診断されたため,根治手術は施行せず上行結腸に双口式人工肛門を造設した後,血管造影手技を用いた金属コイルによる気管支塞栓術を施行し良好な経過が得られた.結腸気管支瘻はまれな疾患であり,文献的考察を加え報告した.
索引用語
colobronchial fistula, subphrenic abscess, bronchial embolization
別刷請求先
大山 健一 〒020-8505 盛岡市内丸19-1 岩手医科大学第1外科
受理年月日
2005年1月26日
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