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第38巻 第8号 2005年8月 [目次] [全文 ( PDF 916KB)]
原著

術前化学放射線療法施行食道がん症例における貯血式自己血輸血の意義

永田 松夫, 浅野 武秀, 山本 宏, 滝口 伸浩, 貝沼 修, 早田 浩明, 森 幹人, 村上 健太郎, 渡辺 一男, 酒井 力

千葉県がんセンター消化器外科, 同 輸血療法科

 はじめに:同種血輸血は,異物反応,感染症,GVHDなどの可能性がある.それを避けるために,我々は切除可能な食道がんで術前化学放射線療法(CRT)を行った症例にたいし,自己血輸血を行っている.方法:切除可能な食道がん症例に対し,5FU 700~800 mg/m2 day 1~5,Nedaplatin 80 mg/m2(またはCisplatin 70 mg/m2)day1,外照射30 Gy(3週間)を行い,4~6週後に右開胸開腹による食道全摘術を行った.手術の2週および1週前におのおの400 mlの貯血を行い,直後にr-HuEPO 24,000単位を皮下投与した.結果:2000年6月より2003年10月までに術前CRTを行った59例中45例(76.3%)が,Hb値11 g/dl以上,体重40 kg以上の自己血貯血の適応基準を満たし,400~800 ml(平均662.2±158.5 ml)の貯血を行った(自己血群,ABD群).自己血輸血導入以前の1998年8月から2000年5月までに術前CRTを行った食道がんで,貯血の適応基準を満たすと考えられた11例を対照群とした(非自己血群,NABD群).術後7日以内の周術期に同種血輸血を全くしなかったのは,NABD群で1例(9.1%)のみであった.それに対しABD群では38例(88.4%)は全く投与せず,有意に同種血輸血回避率が高かった.また,PPFを含めた一切の血液製剤の回避率もABD群で有意に高かった.術後のHb値,血清TP値,アルブミン値の推移には両群間に差はなかった.また,術後合併症も両群間に有意差は見られなかった.結論:術前CRTを行った食道がんにおいても,自己血貯血は可能であり,高い同種血輸血回避率がえられ,極めて有効である.

索引用語
autologous blood transfusion, esophageal cancer, chemoradiotherapy

日消外会誌 38: 1271-1279, 2005

別刷請求先
永田 松夫 〒260-8717 千葉市中央区仁戸名町666-2 千葉県がんセンター消化器外科

受理年月日
2005年1月26日

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