症例報告
いわゆる癌肉腫と扁平上皮癌の同時性食道多発癌の1例
奥田 勝裕, 佐野 正明, 成田 洋, 柴田 直史, 加藤 克己, 宇佐見 詞津夫
刈谷総合病院外科
今回,我々はいわゆる癌肉腫と扁平上皮癌の同時性食道多発癌の1例を経験したので報告する.症例は57歳の男性で,嚥下困難を主訴に当院受診となった.食道造影・食道内視鏡検査にて,胸部中部食道に扁平上皮癌を指摘された.腫瘍の狭窄がひどく,内視鏡による腫瘍肛門側の観察は不可能であった.術前全身精査において多発肺転移を認め,化学療法+放射線治療を1クール行ったが,唾液も飲み込めないような状態に陥った.そのため,食道亜全摘胃管再建胸腔内吻合術を施行した.切除標本では,胸部中部食道に扁平上皮癌,胸部下部食道にいわゆる癌肉腫の併発が認められた.いわゆる癌肉腫は比較的まれな食道腫瘍であり,扁平上皮癌との同時性食道多発癌の例は,極めてまれであるため報告した.
索引用語
so-called esophageal carcinosarcoma, esophageal squamous cell carcinoma, multiple carcinoma
日消外会誌 38: 1296-1300, 2005
別刷請求先
奥田 勝裕 〒448-0852 刈谷市住吉町5-15 刈谷総合病院外科
受理年月日
2005年2月23日
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