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第38巻 第8号 2005年8月 [目次] [全文 ( PDF 666KB)]
症例報告

5年無再発生存中の門脈腫瘍栓を伴うAFP産生残胃癌肝転移の1例

東 正樹, 鈴木 昌八, 坂口 孝宣, 太田 茂安, 稲葉 圭介, 馬場 聡, 今野 弘之, 中村 達

浜松医科大学第2外科, 袋井市民病院臨床病理科

 症例は67歳の男性で,C型肝炎のため近医で経過観察されていた.1999年8月,血清AFP値の上昇と腹部超音波検査で肝腫瘤を認めたため,当科紹介受診した.肝臓および上部消化管の精査で肝右葉に門脈前区域枝の腫瘍栓を伴う7.5 cm大の腫瘍と残胃にtype 2病変を認めた.肝細胞癌を合併した残胃癌と診断し,経皮経肝門脈枝塞栓術後に肝拡大右葉切除術,残胃部分切除術を施行した.病理組織学的検査では胃,肝腫瘍ともにAFP免疫染色陽性の低分化型腺癌であり,AFP産生残胃癌および肝転移と診断された.術後補助化学療法を施行し,5年2か月の現在無再発生存中である.AFP産生胃癌は肝,リンパ節転移を来すことが多く,通常の胃癌より生物学的悪性度が高く予後不良とされている.本症例では原発巣と門脈腫瘍栓を伴う肝転移巣が1期的に根治切除できたことが良好な予後が得られている一要因と考えられた.

索引用語
AFP-producing gastric cancer, portal tumor thrombus, liver metastasis

日消外会誌 38: 1301-1305, 2005

別刷請求先
東 正樹 〒431-3192 浜松市半田山1-20-1 浜松医科大学第2外科

受理年月日
2005年2月23日

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