症例報告
Pulmonary tumor thrombotic microangiopathyが疑われた胃癌の1例
西形 里絵, 寺島 雅典, 添田 暢俊, 大谷 聡, 松山 真一, 星野 豊, 木暮 道彦, 後藤 満一
福島県立医科大学外科学第1講座
今回,我々はpulmonary tumor thrombotic microangiopathy(以下,PTTMと略記)が疑われた胃癌の1例を経験したので報告する.症例は52歳の男性で,心窩部痛,体重減少,食欲不振を主訴に来院した.胃体部に4型の腫瘍を認め,生検にて印環細胞癌と診断された.大動脈周囲リンパ節腫脹を認めたため術前化学療法の方針としたが,入院後労作時呼吸困難を訴え,酸素分圧および二酸化炭素分圧の低下を認めた.胸部CTにてびまん性粒状影および気管支血管束の肥厚があり,肺血流シンチグラムでは微小塞栓の多発を疑わせる所見であった.入院8日目,急激に呼吸困難が増悪,胸部CTにて肺野の斑状影の増加を認め,入院10日目に死亡した.死後の針生検にて肺実質の小動脈に線維細胞性内膜肥厚と器質化した血栓およびその再疎通像がみられPTTMが疑われた.
索引用語
pulmonary tumor thrombotic microangiopathy, pulmonary hypertension, gastric cancer
日消外会誌 38: 1306-1311, 2005
別刷請求先
寺島 雅典 〒960-1295 福島市光が丘1番地 福島県立医科大学外科学第1講座
受理年月日
2005年2月23日
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