症例報告
横行結腸浸潤を呈した肝内胆管細胞癌の1例
三松 謙司, 加納 久雄, 金田 英秀, 久保井 洋一, 桂 義久*, 大井田 尚継
社会保険横浜中央病院外科, 同 病理*
症例は60歳の男性で,陰茎癌の手術既往があった.不明熱と腹部超音波検査上,肝腫瘍を指摘され入院となった.腹部CTで肝右葉にlow density massを認めた.腹部血管造影検査で腫瘍は乏血性であった.確定診断目的に腫瘍穿刺吸引細胞診を行い,扁平上皮癌と診断され,陰茎癌肝転移を疑い手術を施行した.開腹所見では,腫瘍は癌臍を伴い手拳大で横行結腸に直接浸潤していた.手術は肝右葉切除,右半結腸切除,肝門部リンパ節郭清を施行した.病理組織診断結果は,低分化型胆管細胞癌であった.胆管細胞癌が結腸浸潤を来した機序は,腫瘍と結腸が炎症性に癒着し,新生血管が増殖して直接浸潤したものと考えられた.肝内胆管癌の他臓器合併切除例の成績は不良との報告があり,今後厳重な経過観察が必要であると考えられた.
索引用語
intrahepatic cholangiocarcinoma, transverse colon invasion
日消外会誌 38: 1330-1334, 2005
別刷請求先
三松 謙司 〒231-8553 横浜市中区山下町268 社会保険横浜中央病院外科
受理年月日
2005年1月26日
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