症例報告
Rokitansky-Aschoff sinusから発生した胆嚢嚢胞内癌の1例
宇山 攻, 沖津 宏, 石倉 久嗣, 一森 敏弘, 石川 正志, 木村 秀, 阪田 章聖, 藤井 義幸*
徳島赤十字病院外科, 同 病理*
症例は55歳の女性で,健診にて胆石を指摘され当院紹介となった.来院時腹部超音波検査では胆嚢中央に濃縮胆汁で充満した嚢胞を認め,それにより胆嚢は頸部側,尾部側と2房性に分かれて映り,前者内に胆石を認めた.腹部3D DIC-CTにても同様に造影され,以上により胆嚢内嚢胞,胆石症と診断し腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.切除胆嚢を開放すると,頸部側に数個の胆石を認め,体部には3.0 cm大の嚢胞を認めた.嚢胞を開放すると内部に濃縮凝固した胆泥を認めた.病理組織検査では嚢胞全体が巨大化したRokitansky-Aschoff sinusであり,内腔全面が非浸潤性の高分化腺癌で覆われ,pap,m-RAS mp,pHinf0,pBinf0,pPV0,pA0,pBM0,pHM0,pEM0であった.胆嚢嚢胞はまれであり,さらに内面に癌が発生した症例は世界でも4例を認めるのみである.今回,我々は胆嚢嚢胞とその内面に癌を合併した非常にまれな症例を経験したので文献的考察を加えこれを報告する.
索引用語
gallbladder cancer, Rokitansky-Aschoff sinus, gallbladder cyst
日消外会誌 38: 1335-1339, 2005
別刷請求先
宇山 攻 〒773-8502 小松島市中田町新開28-1 徳島赤十字病院外科
受理年月日
2005年1月26日
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